エンブレルは通常、1週間に1回、50mgを皮下注射します。当初50mgで治療開始し、効果が十分に得られた場合(臨床的寛解を達成)は、半分に減量してもその効果を継続できることがわかっています(PRESERVE試験 欧州リウマチ学会2011年)。当院でも、医療費の節約のため、十分な効果が得られた患者さんには、注射量を減らすことを心がけています。
現在当院でエンブレルを使用していらっしゃる患者さんは31名ですが、現在週50mg注射の患者さんは14名、週50mg未満注射の患者さんは17名です。この17名のうち、最初50mg注射であったのが、良好な経過のため減量できた患者さんは11名、最初から50mg未満を使用していた患者さんは6名でした。
週50mg未満の内訳は、
@ 25mgを週1回注射・・・9名
A 25mgを10日に1回注射・・・7名
B 25mgを14日に1回注射・・・1名
となっています。@の場合ですと、注射の費用は半分になりますし、Aの場合は6割引き(約40%)になります。医療経済的に大きな利点があるといえます。
下の図は、当院でのエンブレル用量別の効果を7年間にわたってみたものです。週50mg未満群の患者さんは、週50mg群の患者さんと比較して、治療開始後3、6、12、24、36、48か月後でDAS28(疾患活動性の指標)が有意に良いことが示されています。また、臨床的寛解(SDAIが3.3以下)を達成した割合は約71%と、非常に素晴らしい結果でした。ここで注意すべきは、毎週エンブレル50mgを注射している患者さんの治療効果が悪いのではありません。リウマチの病勢が強いため、エンブレルを減量できないのです。週50mgを注射している患者さんの場合も治療効果は良好で、ご満足頂いているからこそ、治療を継続できています。
週50mg群と週50mg未満群の患者さんの背景を比較すると、50mg群では平均罹病期間10.1年、初めての生物学的製剤使用(ファーストバイオ)であった比率が71%であったのに対し、50mg未満群では平均罹病期間7.9年、ファーストバイオであった比率が82%でした。一般的に、 罹病期間が短いほど、また、ファーストバイオほど治療効果が高いとされており、50mg未満群の患者さんはこの両条件を満たす比率が高いため有効性が高いと考えられます。
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