オレンシアはT細胞の機能を阻害する新しい作用機序の薬物です。また点滴時間が他の薬剤より短い(30分)ことも特徴です。
(1)MTXの効果が不十分な関節リウマチに対するオレンシアの効果(AIM試験)(Kremer JM et al. Ann Intern Med 2006; 144: 865)
MTXを使用しても効果不十分な、罹病期間が8―9年という比較的経過が長いリウマチ患者さんにオレンシアあるいはプラセボ(偽薬)を併用して1年間観察した研究です。オレンシア群は433名、プラセボ群は219名でしたが、治療開始後6ヶ月、12ヶ月になるにしたがい治療効果は上昇し、オレンシア群では低疾患活動性(DAS28が3.2以下)が42.5%、寛解(DAS28が2.6未満)が23.8%となり、プラセボ群と比べて有意に有効でした。この成績はエンブレル(TEMPO試験1年後で寛解が38%)やレミケード(RECONFIRM-2試験1年後で寛解が27.6%)と同等の成績であるといえます。(TEMPO、RECONFIRM-2試験の両者とも、AIM試験と同様に罹病期間6−8年と比較的長い患者さんを対象としています)
また、発症2年以内の早期リウマチ患者さんに対するオレンシアとMTXの併用試験(AGREE試験 2009年)では、治療開始2年間でレントゲンの関節破壊進行が認められなかった患者さんの割合が56.8%と良好で、他の生物学的製剤(エンブレルではTEMPO試験3年で76%、アクテムラ単独ではSAMURAI試験1年で56%)と比較しても同等の成績でした。
(2) TNF阻害薬が効果不十分な関節リウマチに対するオレンシアの効果(ATTAIN試験)(Genovese MC et al. N Engl J Med 2005; 353: 1114)
レミケード、エンブレル、ヒュミラのいずれかのTNF阻害療法で効果不十分であった391名の患者さんをオレンシア群(258名)、プラセボ群(133名)に割り付けて6ヶ月後に臨床効果を検討しました。
上の図の様に、オレンシア群では6ヵ月後には臨床的寛解が10%、低疾患活動性(DAS28が3.2以下)となったのは17.1%でした(いずれもプラセボに対して有意に良好)。さらに2年後には臨床的寛解が20.3%に達し(Genovese MC et al. Ann Rheum Dis 2008; 67: 547)、有効性が示されました。