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平田クリニック かわら版 No.27 (2011年11月)

第27回 関節リウマチに対する新しい生物学的製剤について

最近相次いで新しい生物学的製剤が認可されました。オレンシアとシンポニーです。これで、関節リウマチに使用可能な生物学的製剤は6種類となりました。今回はこの2剤についてご説明します。

1.オレンシア(一般名アバタセプト)

オレンシアは、T細胞表面にあるCTLA-4分子(T細胞を抑制する働きがあります)と、免疫グロブリン分子を融合させて作製された融合蛋白です(下の図ではCTLA4-Ig)。T細胞の活性化には、T細胞受容体(図のTCR)を介した抗原認識シグナルと同時にCD28分子を介した副刺激シグナルが必須です。オレンシアは抗原提示細胞上のCD80/CD86分子に強力に結合することによって、CD80/CD86分子とT細胞上のCD28分子が結合できなくなり、T細胞の活性化が阻害されて、臨床効果を発現します。 オレンシアの利点は、点滴時間が30分と短くて済むことです。点滴は4週間に1回実施します。また、副作用としての重篤な感染症が少ない傾向にある(Cochraneレビュー2011)ことも利点です。
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オレンシアはT細胞の機能を阻害する新しい作用機序の薬物です。また点滴時間が他の薬剤より短い(30分)ことも特徴です。
(1)MTXの効果が不十分な関節リウマチに対するオレンシアの効果(AIM試験)(Kremer JM et al. Ann Intern Med 2006; 144: 865)
MTXを使用しても効果不十分な、罹病期間が8―9年という比較的経過が長いリウマチ患者さんにオレンシアあるいはプラセボ(偽薬)を併用して1年間観察した研究です。オレンシア群は433名、プラセボ群は219名でしたが、治療開始後6ヶ月、12ヶ月になるにしたがい治療効果は上昇し、オレンシア群では低疾患活動性(DAS28が3.2以下)が42.5%、寛解(DAS28が2.6未満)が23.8%となり、プラセボ群と比べて有意に有効でした。この成績はエンブレル(TEMPO試験1年後で寛解が38%)やレミケード(RECONFIRM-2試験1年後で寛解が27.6%)と同等の成績であるといえます。(TEMPO、RECONFIRM-2試験の両者とも、AIM試験と同様に罹病期間6−8年と比較的長い患者さんを対象としています)
 また、発症2年以内の早期リウマチ患者さんに対するオレンシアとMTXの併用試験(AGREE試験 2009年)では、治療開始2年間でレントゲンの関節破壊進行が認められなかった患者さんの割合が56.8%と良好で、他の生物学的製剤(エンブレルではTEMPO試験3年で76%、アクテムラ単独ではSAMURAI試験1年で56%)と比較しても同等の成績でした。

(2) TNF阻害薬が効果不十分な関節リウマチに対するオレンシアの効果(ATTAIN試験)(Genovese MC et al. N Engl J Med 2005; 353: 1114)
レミケード、エンブレル、ヒュミラのいずれかのTNF阻害療法で効果不十分であった391名の患者さんをオレンシア群(258名)、プラセボ群(133名)に割り付けて6ヶ月後に臨床効果を検討しました。
上の図の様に、オレンシア群では6ヵ月後には臨床的寛解が10%、低疾患活動性(DAS28が3.2以下)となったのは17.1%でした(いずれもプラセボに対して有意に良好)。さらに2年後には臨床的寛解が20.3%に達し(Genovese MC et al. Ann Rheum Dis 2008; 67: 547)、有効性が示されました。



2.シンポニー(一般名ゴリムマブ)

TNFαに対する完全ヒト型モノクローナル抗体で、4週間に1回の皮下注射です。点滴ではないので、時間がかからないのが利点です。レミケード、ヒュミラと同じ種類の薬剤です。一方、レミケードと異なり、完全ヒト型の抗体のため、シンポニーに対する自己抗体ができにくく、注射時の副作用も少ないのが特徴です。レミケードと同じ製薬会社がによって作製されました。

(1)MTXの効果が不十分な関節リウマチに対すシンポニーの効果(GO-FOWARD試験)(Keystone E et al. Ann Rheum Dis 2010; 69: 1129)

MTXを3ヶ月以上使用しても効果不十分なリウマチ患者さんに、MTXに加えてシンポニーまたはプラセボを使用し、52週間観察しました。シンポニー50mg群、100mg群とも89名の患者さんが治療を受けました。

上の図のように、治療開始後約1年で、通常の治療用量であるシンポニー50mg群でDAS寛解が36.8%と良好な成績でした。これは、先に述べたエンブレルやレミケードの治療成績とほぼ同等といえます。

今後も関節リウマチに対する新しい生物学的製剤が続々登場する予定です。患者さんの症状や都合に合わせて様々な薬剤を使い分けることができるようになりました。




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